社員を雇用する、あるいは法人を設立する段階で、多くの経営者が「社会保険料はいくらかかるのか？」「どれだけ会社が負担するのか？」と疑問を持ちます。

本記事では、社会保険の基礎知識から会社の負担額の目安、そしてコストを抑えるためのヒントまでを分かりやすく紹介します。

社会保険料とは？会社が負担する項目と割合

会社が加入すべき社会保険には主に以下の4つがあります。

• 健康保険
• 厚生年金保険
• 雇用保険
• 労災保険（全額会社負担）

健康保険と厚生年金保険は、原則として従業員と会社が半分ずつ負担します。雇用保険は業種により負担率が異なり、一般的には**0.6〜0.9％**ほどです。

たとえば月給30万円の社員を1人雇用した場合、会社の社会保険負担額は月約4〜5万円が目安となります。

年収別の社会保険料シミュレーション

● 月給30万円（年収360万円）の正社員の場合

• 健康保険：約14,700円
• 厚生年金：約27,000円
• 雇用保険：約1,800円 → 合計：約43,500円／月（会社負担）

給与額が高くなるほど、会社の社会保険料負担も増加します。特に役員報酬が高い場合は、1人でも月額7〜8万円以上になることも珍しくありません。

社会保険料を抑えるための工夫

会社負担が大きいと感じた場合、以下のような工夫が考えられます。

● 役員報酬の調整

適正な金額に設定することで、保険料負担をコントロール可能です。

● 家族を役員にして分散

報酬を家族と分けることで、個別の社会保険料を抑える方法です。

● 外注契約の活用（ただし注意が必要）

雇用ではなく業務委託とすることで社保加入義務を回避できる場合がありますが、「偽装請負」とならないよう法的チェックが重要です。

社会保険の価値とは？経営メリットもある

社会保険は単なるコストではありません。次のような経営上のメリットもあります。

• 従業員の医療費補助や将来の年金受給
• 育児・介護などの給付制度
• 求人における信頼性向上

「社会保険未加入の会社には入りたくない」という求職者も少なくなく、採用力や社内の安心感にも大きく関わってきます。

無理な節約が招くリスクとは

社会保険料の節約を優先しすぎると、以下のようなリスクがあります。

• 未加入による追徴金・過去2年分の請求
• 労働基準監督署からの指導や調査
• 助成金申請が不利になる可能性

制度からの逃避よりも、正しく制度を理解し活用する視点が経営には不可欠です。

まとめ：コストだけでなく「安心の投資」として考える

社会保険料は、確かに企業の大きな支出のひとつです。しかし、それは従業員の定着や採用、信頼構築にもつながる「未来への投資」でもあります。

• 役員報酬や従業員構成に応じた最適設計を考える
• 制度の仕組みを理解し、リスクを避ける
• 必要に応じて社労士など専門家の意見を取り入れる

このように、社会保険との付き合い方を見直すことで、経営の健全性と継続性を高めることができるでしょう。