DHT（ジヒドロテストステロン）とは？

DHT（ジヒドロテストステロン）は、男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼという酵素の働きによって変換されてできる強力なアンドロゲン（男性ホルモン）です。主に前立腺や皮脂腺、毛包（毛根の根元部分）に影響を及ぼすホルモンであり、思春期の男性の身体的発達には重要な役割を果たします。

しかしながら、このDHTが過剰に生成されると、男性型脱毛症（AGA）の主要な原因の一つとされており、多くの男性にとって頭髪の悩みの元凶となっています。

DHTが毛包に与える影響：脱毛のメカニズム

DHTは毛包の受容体と結びつくことで、毛母細胞の成長サイクルを短縮し、髪の毛が太く長く成長する前に抜けてしまうようになります。具体的には、以下のような現象が起こります：

• 成長期の短縮：髪が十分に成長する前に成長期が終わる
• 休止期の延長：毛根が活動を停止する時間が長くなる
• 毛包のミニチュア化：毛包が徐々に小さくなり、産毛のような細い毛しか生えなくなる

このような変化が進行すると、特に前頭部や頭頂部の髪が徐々に薄くなっていき、典型的なAGAの症状となって現れます。

DHTの生成を抑える方法とは？

DHTを完全に除去することは不可能ですが、その生成を抑えることによって、脱毛の進行を遅らせたり、一部改善を期待することが可能です。以下の方法が一般的です：

1. 5αリダクターゼの阻害

DHTを作る酵素「5αリダクターゼ」の働きを抑えることで、DHTの生成を抑制できます。これにより毛包への悪影響を軽減します。

2. 食生活の見直し

亜鉛、大豆イソフラボン、緑茶カテキンなどには5αリダクターゼの活性を抑える効果があるとされています。バランスの良い食事を心がけることが大切です。

3. ストレスの管理

ストレスはホルモンバランスを乱す要因の一つです。ストレスを減らすことで間接的にDHTの影響を抑えることも可能です。

DHT抑制に関与する代表的な成分と薬剤

医薬品による対策

• フィナステリド：主に5αリダクターゼ（タイプⅡ）を阻害する内服薬。日本では医師の処方が必要です。
• デュタステリド：フィナステリドより広範囲に酵素を抑える作用を持ち、より強力なDHT抑制効果が期待されます。

天然成分によるアプローチ

• ノコギリヤシ：天然の5αリダクターゼ阻害作用を持つとされ、サプリメントとして人気。
• カボチャ種子油：DHTの活性を和らげる栄養素が豊富。
• 大豆イソフラボン：女性ホルモン様の働きにより、DHTとのバランスを取るとされる。

DHTに負けない！日常でできる脱毛予防習慣

DHTの影響を受けにくい体質や環境を作るために、日々の生活習慣を見直すことも重要です。

良質な睡眠を確保

成長ホルモンの分泌が最も活発になるのは深夜。十分な睡眠は頭皮の健康を保つ鍵です。

バランスの取れた食事

高脂肪・高糖質の食事は皮脂の分泌を増やし、毛穴の詰まりや炎症を引き起こす原因に。亜鉛、ビタミンB群、たんぱく質などを意識的に摂取しましょう。

適度な運動とストレス解消

血流を改善し、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。ウォーキングやヨガ、軽い筋トレがおすすめです。

DHT対策で未来の髪を守ろう

DHTは男性の体に必要不可欠なホルモンである一方、過剰になると脱毛を引き起こすリスクが高まります。正しい知識をもって対処することで、脱毛の進行を抑え、健やかな頭皮環境を保つことが可能です。生活習慣を見直し、必要に応じて医師に相談しながら、自分に合ったDHT対策を取り入れていきましょう。