そのいびき、危険信号かも?睡眠時無呼吸症候群の症状と対策
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする状態を繰り返す睡眠障害の一種です。日本国内でも潜在患者数は数百万人規模と推定されており、特に中高年の男性、肥満傾向のある人に多く見られます。ただし、女性や若年層、痩せ型の人でも発症するケースがあり、決して特定の人だけの病気ではありません。睡眠時無呼吸症候群は、単なる「いびきの病気」と誤解されがちですが、放置すると心筋梗塞、脳卒中、高血圧、糖尿病などの重篤な疾患のリスクを高めることが知られています。
睡眠時無呼吸症候群の主なタイプ
睡眠時無呼吸症候群は、発症のメカニズムによって主に以下の3種類に分類されます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)
最も多いタイプで、全体の約90%を占めます。睡眠中に舌や喉の筋肉が弛緩し、上気道が物理的に塞がれることで呼吸が止まります。強いいびきを伴うことが多く、肥満、顎が小さい、首回りが太いといった身体的特徴がリスク因子となります。
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)
脳から呼吸を指示する信号がうまく出なくなることで発生します。心不全や脳血管障害、神経疾患と関連するケースが多く、いびきが目立たない場合もあります。
混合型睡眠時無呼吸症候群
閉塞性と中枢性の両方の特徴を併せ持つタイプで、治療方針の決定には専門的な評価が必要です。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
夜間に見られる症状
- 大きないびき
- 呼吸が止まる、息苦しそうにあえぐ
- 睡眠中に何度も目が覚める
- 寝汗を大量にかく
- 夜間頻尿
これらの症状は本人が自覚しにくく、家族や同居人から指摘されて初めて気づくことも少なくありません。
日中に現れる症状
- 強い眠気、居眠り
- 集中力・記憶力の低下
- 起床時の頭痛
- 倦怠感、疲労感が抜けない
- 気分の落ち込み、イライラ
特に日中の強い眠気は、交通事故や労働災害の原因にもなり、社会的な影響も大きいとされています。
睡眠時無呼吸症候群が身体に及ぼす悪影響
心血管疾患のリスク増大
無呼吸状態が繰り返されると、体内の酸素濃度が低下し、交感神経が過剰に刺激されます。その結果、高血圧が慢性化し、心筋梗塞や不整脈、心不全の発症リスクが高まります。
脳血管障害との関係
睡眠時無呼吸症候群は脳卒中との関連も強く、特に重症例では発症リスクが数倍に上昇すると報告されています。夜間の低酸素状態が脳血流に悪影響を与えることが要因と考えられています。
生活習慣病の悪化
インスリン抵抗性が高まり、2型糖尿病の発症や悪化につながる可能性があります。また、脂質異常症やメタボリックシンドロームとも密接に関係しています。
精神面・生活の質(QOL)への影響
慢性的な睡眠不足は、抑うつ状態、不安障害、意欲低下など精神面にも影響を及ぼします。仕事のパフォーマンス低下や対人関係の悪化など、生活全体の質を下げる要因となります。
睡眠時無呼吸症候群の原因とリスク要因
身体的要因
- 肥満(特に内臓脂肪型肥満)
- 顎が小さい、下顎が後退している
- 首周りが太い
- 扁桃肥大、鼻中隔湾曲
生活習慣・環境要因
- 飲酒習慣(特に就寝前)
- 喫煙
- 睡眠薬・鎮静薬の使用
- 不規則な生活リズム
性別・年齢
男性に多く見られますが、女性でも更年期以降はホルモンバランスの変化によりリスクが上昇します。加齢とともに発症率は高まる傾向があります。
睡眠時無呼吸症候群の検査・診断方法
簡易検査(在宅検査)
自宅で行える検査で、呼吸の状態、酸素飽和度、脈拍などを測定します。スクリーニング目的として広く用いられています。
精密検査(PSG検査)
医療機関に入院して行う終夜睡眠ポリグラフ検査が標準的な精密検査です。脳波、眼球運動、筋電図、呼吸、心電図などを同時に測定し、重症度を正確に評価します。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
中等症〜重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して最も一般的な治療法です。睡眠中に鼻マスクを装着し、空気を送り込むことで気道の閉塞を防ぎます。継続使用により、日中の眠気や血圧の改善が期待されます。
口腔内装置(マウスピース)
軽症〜中等症の場合、歯科で作製するマウスピースが用いられることがあります。下顎を前方に固定し、気道を確保する仕組みです。
外科的治療
扁桃摘出、鼻・顎の手術など、解剖学的な問題が明確な場合に検討されます。ただし、適応は慎重に判断されます。
生活習慣の改善
- 減量
- 禁酒・節酒
- 禁煙
- 横向きで寝る
- 規則正しい睡眠習慣
これらは治療効果を高め、再発防止にも重要です。
睡眠時無呼吸症候群は早期発見・早期治療が重要
睡眠時無呼吸症候群は、自覚症状が乏しい一方で、全身に深刻な影響を及ぼす疾患です。放置することで命に関わる病気につながる可能性も否定できません。
「いびきがうるさいと言われる」「十分寝ているのに疲れが取れない」「日中の眠気が強い」といったサインがある場合は、早めに医療機関へ相談することが重要です。適切な検査と治療により、症状の改善だけでなく、将来的な健康リスクの軽減が期待できます。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、現代社会において決して珍しい病気ではなく、多くの人が気づかないまま影響を受けています。正しい知識を持ち、早期に対応することが、自身の健康と生活の質を守る第一歩となります。
疑いがある場合は放置せず、専門医による診断を受けることが、長期的な健康管理において極めて重要です。