不整脈の基本構造と心臓リズムの仕組み

心臓は電気信号によって拍動しています。正常な心拍リズムは、洞房結節（SA node）から発せられる電気信号が心房と心室に伝わることで保たれます。しかし、不整脈ではこの電気信号が乱れることで、拍動の速さやリズムが異常になります。

電気信号の異常は心臓の構造や血流、神経の働きなど複数の要因に影響されます。特に加齢や生活習慣の影響で発症リスクが増加することが知られています。

不整脈の種類と特徴

心房細動（Atrial Fibrillation, AF）

心房が速く不規則に収縮する不整脈です。症状として動悸や息切れを感じることがあります。血液が心房内で滞ることで血栓形成のリスクがあり、脳梗塞の原因になることもあります。

心室性期外収縮（PVC）

心室が早く収縮する不整脈で、強い動悸や胸部不快感を伴うことがあります。健康な人にも起こることがありますが、頻発すると心臓への負担が増加します。

徐脈性不整脈（Bradyarrhythmia）

心拍が異常に遅くなる不整脈で、めまいや息切れ、失神を伴うことがあります。ペースメーカーの装着が検討される場合もあります。

上室性頻拍（SVT）

心房や心房と心室の接続部で異常な電気信号が発生し、心拍が急に速くなるタイプです。突然の動悸や胸部圧迫感が特徴です。

不整脈の症状

不整脈の症状は軽度から重度まで幅がありますが、代表的な症状には以下が挙げられます。

• 動悸、心拍の乱れ
• 息切れ、疲労感
• めまい、ふらつき
• 胸痛、胸部圧迫感
• 意識消失や失神（重症例）

症状が一過性で軽度の場合もありますが、頻度が増えたり突然強くなる場合は医療機関での評価が必要です。

不整脈の原因

不整脈は、心臓の電気信号が乱れることによって発生します。原因は多岐にわたります。

• 加齢や心臓の構造的変化
• 高血圧や心疾患、心筋症
• 甲状腺機能異常
• 生活習慣（過度のカフェイン、睡眠不足、ストレス）
• 薬剤やアルコールの影響

複数の要因が重なることで発症リスクが高まることがあります。

不整脈を放置した場合のリスク

不整脈を放置すると以下のようなリスクがあります。

• 心拍リズムの乱れによる心不全の悪化
• 血栓形成による脳梗塞や心筋梗塞
• 徐脈による意識消失や事故のリスク増加
• 動悸や倦怠感による生活の質（QOL）の低下

特に心房細動など血栓リスクを伴う不整脈は、早期の評価と管理が重要です。

不整脈の診断方法

医療機関では、症状や心拍の状態を確認するために以下の検査が行われます。

• 心電図（ECG）：心拍リズムを確認する基本検査
• ホルター心電図：24時間以上連続して心電図を記録
• 心エコー：心臓の構造や血流を評価
• 運動負荷試験：運動時の心臓反応を確認

正確な診断には、症状の記録や医師への詳細な報告も重要です。

不整脈の治療法

不整脈の治療は、症状や合併症のリスクに応じて個別に行われます。

薬物療法

• 抗不整脈薬：心拍のリズムを整える
• 抗凝固薬：血栓リスクを低減する

非薬物療法

• カテーテルアブレーション：異常な電気信号を焼灼
• ペースメーカー：徐脈性不整脈の補助

治療は医師の指導の下で、生活習慣改善と組み合わせることが推奨されます。

日常生活での注意点

• 十分な睡眠と休養を確保する
• カフェインやアルコールの過剰摂取を避ける
• ストレス管理を意識する
• 適度な運動を取り入れる
• 症状が出た場合は無理せず安静にする

これにより、症状の悪化を防ぎ、心臓への負担を軽減することができます。

まとめ

不整脈は軽症の場合もありますが、放置すると重篤な心疾患や脳梗塞のリスクを伴う可能性があります。症状が気になる場合は早期に医療機関で診断を受け、治療や生活習慣の改善を行うことが大切です。自己判断で放置せず、専門医と連携して管理することで、安心して生活を送ることができます。