白内障とは何か

白内障（はくないしょう）は、水晶体が濁ることで視界がかすむ、ぼやける、まぶしく感じるなどの視覚障害を引き起こす疾患であり、加齢に伴い発症するケースが多いとされる。日本では高齢人口の増加により、白内障に悩む人は年々増えているといわれ、比較的身近にみられる眼のトラブルとしてよく知られている。白内障は進行性であるものの、早期に適切な検査を受けることで、生活の質を維持しながら対策を検討できる点が特徴である。

白内障が発生する原因と仕組み

加齢による変化

白内障の原因の多くは加齢による水晶体の変性とされ、水晶体を構成するタンパク質が変化し濁りが生じることで視覚障害が生じる。この変化は40代頃から始まるといわれ、60代〜70代になると症状が顕著になるケースが増える。白内障の進行スピードには個人差があり、早い人では50代でも視界のかすみを感じることがある。

生活習慣・紫外線の影響

近年、紫外線の長期暴露、喫煙習慣、糖尿病なども白内障のリスクを高める要因として指摘されている。特に紫外線は水晶体タンパク質の変性を促すため、屋外作業が多い人は注意が必要である。このような生活環境の影響が加わることで白内障の発症年齢が早まる場合がある。

白内障の主な症状

視界のかすみ・ぼやけ

白内障の初期症状として最も多くみられるのが視界のかすみであり、霧がかかったように見えると訴えるケースが多い。特に暗い場所での見え方が変わったり、逆に光がまぶしく感じたりする症状も代表的である。

色調の変化

水晶体の濁りが進行すると、色の見え方が黄色がかって見えることもある。自覚しにくい変化だが、白内障の進行具合を判断する重要なサインとなる。 このような視界の違和感が続く場合、放置すると白内障が進行し、日常生活に支障が出る可能性がある。そのため、症状が軽い段階で眼科医に相談することが望ましいとされる。

白内障の進行と日常生活への影響

運転や仕事への影響

進行した白内障は、車のライトや太陽光を強くまぶしく感じるため、夜間運転が危険になるケースがある。また、細かい文字が見えにくくなることで、事務作業や読書に支障が生じる可能性もある。

生活の安全性の低下

階段の段差が見えにくくなる、床の物がぼやけるなど、事故につながる場面も増えるため、白内障の進行度と生活の安全性は密接に関係している。

白内障の検査と診断方法

スリットランプ検査

白内障の診断には、細隙灯顕微鏡（スリットランプ）を用いて水晶体の濁りを確認する。診察は痛みもなく短時間で行われ、状態を正確に把握できる。

視力検査と眼圧検査

視力の変化を確認し、緑内障など他の疾患の可能性を除外するために眼圧検査もあわせて行われる。白内障の検査は総合的に眼の健康状態を評価する役割もある。 診察の結果、白内障と診断された場合でも、すぐに手術が必要とは限らない。生活への影響度を踏まえ、進行に応じて治療時期が検討される。

白内障の治療方法

進行初期の対処法

白内障は点眼薬で根本的に治るわけではないが、進行を遅らせる効果を期待できる場合がある。ただし、視力を回復させるには手術が一般的に選択される。

白内障手術の基本的な流れ

白内障手術は、水晶体の濁った部分を取り除き、人工レンズ（眼内レンズ）を挿入する治療である。手術は局所麻酔で行われることが多く、所要時間は約15〜20分ほどと比較的短い。術後は眼帯で保護し、翌日以降に経過観察を受ける。

眼内レンズの種類と選び方

単焦点レンズ

最も一般的に用いられる単焦点レンズは、焦点が一か所に合うタイプであり、健康保険の適用範囲となることが多い。日常生活に不自由がないよう、遠方または近方のどちらに焦点を合わせるか医師と相談しながら決める。

多焦点レンズ

多焦点レンズは遠近両方に焦点が合うよう設計されたレンズであり、利便性はあるが費用が自費になるケースが多い。多焦点レンズを扱うクリニックでは、生活スタイルに合わせたレンズの選択をサポートする。 眼内レンズ選択は白内障手術の満足度に影響するため、費用面と生活スタイルのバランスを考えて慎重に決めることが重要である。

白内障手術の費用目安

単焦点レンズの場合の費用

白内障手術は保険適用の場合、片眼で約1〜3万円程度（自己負担3割の場合）とされる。高額療養費制度を利用できるケースもあり、個人の条件により最終的な負担額は変わる。

多焦点レンズの場合

多焦点レンズは自費診療となることが多く、片眼約20〜40万円の範囲で設定されるケースが一般的である。レンズの種類やクリニックの方針によって費用は異なるため、事前の説明をよく確認することが望ましい。

手術後の生活と注意点

術後のケア

手術後は目を強くこすらない、重い荷物を持たないなど、一定期間の生活制限が必要である。感染症予防のための点眼薬も処方される。

視力の回復と個人差

視力は翌日から改善が期待できることもあるが、安定するまでには数週間を要するケースもある。術後しばらくは急に視界が明るく感じるなどの変化がみられることが多い。

ここでも自然に 白内障 白内障手術後は定期的に眼科で検査を受けることで、合併症の早期発見や視力の安定につながる。

白内障の予防とセルフケア

紫外線対策

白内障の発症リスクを抑えるために、日常生活でUVカット眼鏡や帽子を使用するなどの紫外線対策が重要とされる。

生活習慣の見直し

禁煙、血糖コントロール、バランスの良い食生活など、全身の健康管理が白内障予防に役立つとされる。

まとめ

白内障は加齢に伴い多くの人が経験する可能性のある疾患だが、早期発見と適切な治療により、生活への影響を最小限に抑えることが期待できる。視界に違和感を覚えた際は早めに眼科を受診することが望ましく、定期的な検診も重要である。手術は広く行われており、生活スタイルに合わせたレンズ選択や術後のケアを通じて、視生活の改善が期待できる。

日本の実際の眼科医療機関（例）

※優良な医療機関は他にも多数存在

• 東京慈恵会医科大学附属病院 眼科
• 順天堂大学医学部附属順天堂医院 眼科
• 慶應義塾大学病院 眼科
• 日本大学医学部附属板橋病院 眼科
• 北里大学病院 眼科
• 東邦大学医療センター大橋病院 眼科
• 大阪公立大学医学部附属病院 眼科
• 福岡赤十字病院 眼科