歯がズキズキ痛む時の根管治療必要か判断基準

🕒 2025-12-08

歯がズキズキと脈を打つように痛み出すと、日常生活に大きな支障が出るだけでなく、「この痛みはいつまで続くのか」「もしかして根管治療が必要なのではないか」と強い不安に襲われる人が少なくありません。最初は我慢できる程度の違和感だったものが、次第に強い痛みに変わり、食事が楽しめなくなったり、夜眠れなくなったりすることもあります。特に、痛みが断続的ではなく持続的に続く場合や、冷たいもの・熱いものに強く反応する場合は、歯の内部で深刻な変化が起きている可能性があります。この記事では、根管治療が必要になる代表的な症状や判断の目安について、できるだけ分かりやすく解説します。

根管治療が検討される典型的な症状

根管治療が必要になる代表的なサインのひとつが「自発痛」です。これは噛んだり触れたりしていないにもかかわらず、歯がズキズキと勝手に痛む状態を指します。この痛みは歯の神経に強い炎症が起きている可能性が高く、時間がたつほど強くなる傾向があります。特に夜間になると痛みが悪化し、鎮痛剤でも十分に抑えられないケースでは、根管治療を検討する段階に進んでいる可能性があります。

また、歯ぐきの腫れや、歯の根元に小さな膨らみができる症状も注意が必要です。これは歯の根の先に膿がたまっている状態であり、放置するとあごの骨に炎症が広がるリスクがあります。

咬合痛・冷痛・熱痛・持続痛の違い

歯の痛みは「どのような場面で痛むか」によって、ある程度状態を推測することができます。噛んだときに痛みが出る「咬合痛」は、歯の根の周囲の組織に負担がかかっているサインで、根管治療が検討される前段階として見られることがあります。

「冷痛」は冷たい飲み物や空気に触れたときに生じる痛みです。刺激をやめるとすぐに治まる場合は軽度で済むこともありますが、刺激後も痛みが長く続く場合は神経のダメージが進行している可能性があります。

一方、「熱痛」は温かい飲食物で強く痛む症状で、神経がかなり傷んでいるサインと考えられています。さらに、刺激がなくても長時間続く「持続痛」がある場合は、根管治療が必要となる可能性が高まります。

様子見できる場合と、すぐ受診すべき場合

歯の痛みがあるからといって、すべてがすぐに根管治療になるわけではありません。一瞬だけしみる程度で、数秒以内に治まり、その後も症状が悪化しないようであれば、経過観察で済む場合もあります。

しかし、何もしていなくても痛い状態が続く、数日間痛みが改善しない、市販の鎮痛剤が効きにくい、歯ぐきの腫れや違和感が出てきた、といった症状がある場合は注意が必要です。これらは根管治療が必要な段階に進んでいる可能性があるため、早めの診断がすすめられます。

レントゲン・CTによる診断の役割

歯科医院では、見た目だけでは判断できない部分を確認するために、レントゲンや歯科用CTを活用します。通常のレントゲンでは、歯の根の周囲に黒い影がないか、骨の状態に異常がないかを確認します。

CT検査では、歯の根の形や内部構造、感染の広がり方を三次元的に把握できるため、根管治療が本当に必要かどうかをより正確に判断する助けになります。これにより、不要な処置を避けつつ、必要な治療を適切なタイミングで行うことが可能になります。

痛みを悪化させないための応急対策

強い痛みがある場合は、患側で強く噛まないように意識することが大切です。食事はできるだけ反対側の歯で噛むようにしましょう。また、極端に冷やしたり温めたりすると血流が変化し、症状が悪化することがあります。

市販の鎮痛剤は一時的に痛みを和らげる助けにはなりますが、原因そのものを治すことはできません。痛みが一時的に落ち着いたとしても、内部で炎症が進行していることがあるため、症状が繰り返す場合は根管治療の検討が必要になることがあります。

まとめ

歯がズキズキと痛む背景には、根管治療が必要となる状態が隠れている場合があります。咬合痛、冷痛、熱痛、自発痛といった痛み方の違いを知ることで、ある程度の判断材料を得ることはできますが、正確な診断には専門的な検査が欠かせません。

根管治療は決して特別な治療ではなく、歯を残すための重要な選択肢のひとつです。痛みを我慢し続けるよりも、早めに状態を確認することが、将来の大きなトラブルを防ぐことにつながります。歯の違和感は身体からの大切なサインであり、軽視せず向き合うことが、長く健康な歯を保つ第一歩になります。