胃がんとは

定義と種類

胃がんは胃の粘膜に発生する悪性腫瘍で、組織型や発生部位によって分類されます。主に腺がんが多く、早期胃がんと進行胃がんに分けられます。早期胃がんは症状がほとんどなく、内視鏡検査で発見されることが多いのに対し、進行胃がんは腹痛や食欲不振、吐血などを伴うことがあります。

胃がんの統計・発生頻度

日本では毎年約10万人が胃がんと診断されており、特に50歳以上の男性に多く見られます。発症率は年齢とともに増加し、早期発見と適切な治療が生存率向上の鍵となります。

胃がんの原因とリスク要因

ピロリ菌感染

胃がんの主な原因として知られるのがヘリコバクター・ピロリ菌（ピロリ菌）感染です。感染により慢性的な胃炎が起こり、粘膜が損傷されることで胃がんリスクが増加します。

食生活・生活習慣

• 塩分の多い食事や燻製食品の摂取
• 野菜や果物の摂取不足
• 過度のアルコール摂取、喫煙

これらの生活習慣が積み重なることで、胃粘膜の炎症や発がんリスクが高まります。

遺伝・体質

家族に胃がん患者がいる場合、遺伝的な影響で発症リスクが高まると報告されています。遺伝子変異や体質も関連する可能性があります。

その他の要因

慢性的な胃炎、胃ポリープ、長期間の胃酸抑制薬使用などもリスク要因とされます。特に50歳以上の中高年では定期的な検診が推奨されます。

胃がんの症状

初期症状の特徴

早期の胃がんでは症状がほとんどない場合があります。稀に以下の軽い症状が現れることがあります。

• 胃もたれや軽い腹部不快感
• 食欲の変化
• 軽度の胸やけ

これらは風邪や食生活の乱れと区別が難しいため、定期的な健康診断や内視鏡検査が重要です。

進行症状

進行胃がんでは、以下の症状が見られることがあります。

• 食欲不振、体重減少
• 上腹部痛やしこり感
• 吐血や血便
• 貧血による疲労感

症状が出た時点では、すでに胃がんが進行している可能性もあるため、早期発見が望まれます。

胃がんの合併症

• 胃の通過障害による嘔吐
• 胃壁の穿孔や出血
• 肝臓やリンパ節への転移

合併症が起こると治療が複雑になり、生活の質にも影響します。

胃がんの診断方法

内視鏡検査

胃がん診断で最も基本的で正確なのが内視鏡検査です。組織を採取して病理検査を行うことで確定診断が可能です。

画像診断

• CTスキャン：リンパ節転移や臓器への拡がりを確認
• MRI：軟部組織の評価
• 超音波：腹部臓器の評価

血液検査と腫瘍マーカー

• 血液検査：貧血や肝機能異常の確認
• 腫瘍マーカー（CEA、CA19-9など）：診断や経過観察に利用

診断の流れと注意点

症状がなくても、50歳以上やピロリ菌感染者は定期的な検診が推奨されます。早期胃がんは自覚症状が少ないため、検診による発見が生存率向上の鍵です。

胃がんの治療方法

外科手術

• 部分切除（胃局所切除）：早期胃がんに有効
• 胃全摘出：進行胃がんや多発病変に対応

手術方法はがんの位置や進行度によって決定されます。

化学療法・放射線療法

• 化学療法：術前・術後補助療法として使用
• 放射線療法：局所進行がんや緩和目的で使用

近年では分子標的治療薬や免疫療法との併用も検討されています。

免疫療法・分子標的治療

• 免疫チェックポイント阻害薬：進行胃がんへの適応
• 分子標的薬：HER2陽性胃がんなどに使用

治療選択のポイント

治療方針はがんの進行度、年齢、全身状態、希望に応じて個別に決定されます。複数の治療オプションを理解することが重要です。

生活管理と再発予防

食生活の工夫

• 消化に優しい食事
• 塩分控えめ、野菜・果物を多く摂る
• 過度の脂肪摂取を控える

運動・生活習慣改善

• 適度な運動
• 禁煙・節酒
• 十分な睡眠とストレス管理

定期検診の重要性

治療後の再発予防や早期発見のために、定期的な内視鏡検査・画像診断を受けることが推奨されます。

日本の胃がん専門医療機関例

• 国立がん研究センター中央病院（東京都）：胃がん診断・治療の国内トップレベル
• がん研有明病院（東京都）：消化器がん専門、最新の化学療法対応
• 大阪大学医学部附属病院：進行胃がんの多施設臨床試験対応
• 福岡山王病院：消化器内科と外科連携による治療

これらの施設はあくまで一例で、地域に応じた信頼できる医療機関を選ぶことが大切です。

よくある質問（Q&A）

Q1: 治療期間の目安は？ A1: 早期胃がんは手術後1〜2週間で退院可能な場合もあります。進行胃がんでは化学療法や放射線治療を含め数か月かかる場合があります。

Q2: 食生活で注意することは？ A2: 消化に優しい食事、塩分控えめ、野菜や果物中心のバランスの良い食事が推奨されます。

Q3: 家族ができるサポートは？ A3: 食事管理、通院の付き添い、心理的サポート、生活環境の調整が重要です。

まとめ

【胃がん】は早期発見が生存率に大きく影響する病気です。症状が軽度でも定期検診や内視鏡検査を受けることが重要です。生活習慣の改善、食生活の見直し、ストレス管理、定期検診の継続が再発予防や健康維持に役立ちます。信頼できる医療機関での診断・治療と、日常生活の工夫を組み合わせることで、胃がんの治療と回復をサポートすることが可能です。