火葬のみとは何か？現代に広がる新しい葬送の形

「火葬のみ」とは、通夜や告別式を行わず、火葬に関わる最小限の工程のみで故人を見送る葬送形式です。葬儀社のプランでは「直葬」「シンプル火葬プラン」などと表記されることが多く、近年急速に利用者が増えています。背景には、価値観の変化、家族構成の変化、葬儀費用の上昇などの要素が複合的に影響しています。

従来の日本では、宗教儀式として通夜・告別式を行う流れが一般的でした。しかし、現代社会では「形式より気持ち」「負担を減らしたい」という考え方が浸透し、火葬のみが一つの合理的な選択肢として広がっています。

火葬のみは、故人が「身内だけで静かに送ってほしい」と生前望んでいた場合や、家族の負担を減らしたい場合にも適しています。さらに、遠方の親族が少ない家庭、宗教的な儀式を望まない人、または費用を抑えたい家庭からも選ばれるケースが増えています。

火葬のみが選ばれる理由（背景）

1．費用を抑えやすい

一般葬は会場費、祭壇、料理、返礼品など多くの工程が必要ですが、火葬のみはそれらを省くため総額が低く抑えられます。火葬のみの費用はおよそ 5〜20万円 が相場で、地域差はあるものの負担が大幅に軽減されます。

2．形式にこだわらない価値観の広がり

近年では、葬送を「義務」ではなく「家族の選択」とする考え方が浸透し、宗教儀式よりも「静かに見送りたい」という希望が増えています。

3．高齢化・単身世帯の増加

身内が少ない家庭や、遠方に住む親族が集まりにくい状況では、火葬のみが現実的で合理的な選択になります。

4．遺族の負担軽減

準備や段取りが多い一般葬と比較し、火葬のみは精神的・身体的負担を軽くできます。

火葬のみの一般的な流れ（詳細版）

火葬のみはシンプルな流れですが、最低限の工程は必ず必要となります。以下では実際の流れを時系列で詳しく紹介します。

1．① 連絡・搬送

葬儀社へ依頼し、故人を安置施設または自宅へ搬送します。 深夜・早朝の搬送は追加料金がかかる場合があります。

2．② 安置

日本の法律では、死亡後24時間以内の火葬は禁止されています。そのため必ず安置が必要です。 安置施設では

• ドライアイス管理
• 保冷管理
• 面会可否

など、葬儀社によって条件が異なります。

3．③ 打ち合わせ

遺族と葬儀社が火葬日時、搬送方法、必要な書類、骨壺の種類などを決定します。

4．④ 火葬手続き

死亡届提出 → 火葬許可証の取得という流れです。 多くの葬儀社が代行してくれるため負担は少なめです。

5．⑤ 火葬当日

親族数名が火葬場へ同行し、炉前で最後のお別れをします。 数分〜十数分の短い時間ですが、落ち着いた雰囲気で故人を見送ることができます。

6．⑥ 収骨

火葬後は遺骨を骨壺へ納めます。その後の納骨方法は家族の希望によってさまざまです。

火葬のみのメリット（詳細解説）

1．費用の大幅削減

葬儀費用の負担が小さく、多くの家庭にとって現実的な選択肢です。

2．精神的負担の軽減

葬儀準備のストレスが少なく、家族の心理的負担を軽くできます。

3．少人数でも問題なく行える

参列者の調整が不要で、遠方の親族が少ない場合にも適しています。

4．宗教色を抑えやすい

儀式を簡素化したい家庭にも合っています。

火葬のみのデメリット・注意点

1．親族の理解を得にくい場合がある

「式がないのは寂しい」という価値観の人もいるため、事前の相談が必要です。

2．お別れの時間が短い

告別式を行わないため、ゆっくり見送りたい場合には不向きです。

3．安置日数が増えると追加料金

安置が延びると費用が増えるため注意が必要です。

4．火葬以降の供養先を決めておく必要

墓地、納骨堂、樹木葬、手元供養など選択肢は幅広く、早めの検討が推奨されます。

📌 火葬のみ vs 一般葬（比較表）

📌 火葬のみに向いている人（まとめ）

• 故人が生前「簡素な葬儀」を希望していた
• 経済的な負担を抑えたい
• 身内だけで静かに見送りたい
• 宗教儀式を望まない
• 親族が少ない家庭
• 遠方の親族が集まりにくい
• スピーディに段取りをしたい場合

📌 葬儀社を選ぶときのチェックリスト

• 火葬のみの総額費用が明確か
• 深夜搬送の追加料があるか
• 安置の1日あたりの料金
• 火葬場までの距離と料金
• 骨壺の種類で追加があるか
• 見積書に「含まれない費用」が記載されているか
• 口コミ評価・実績
• 相談対応の丁寧さ