国補と地方補助金制度

空き家・古民家再生に関連する補助金は、国と地方自治体の両方で提供されています。

国の補助金

国レベルでは、国土交通省や中小企業庁が実施する補助金制度があります。代表的なものに以下があります。

• 空き家再生事業補助金 老朽化した住宅を耐震・断熱改修して再生する場合に、工事費の一部を補助。補助率は概ね1/2～2/3程度で、上限は200万円前後（参考値）。
• 小規模事業者持続化補助金 古民家を店舗や宿泊施設に活用する場合、小規模事業者が対象となり、販路開拓や設備改修に対して最大50万円～200万円の補助が得られるケースがあります。

地方自治体の補助金

各自治体は独自に空き家再生を支援する制度を設けています。補助内容は自治体ごとに異なり、耐震・断熱改修費用の一部や改修後の運営支援が対象となることがあります。

例えば、地方の町では「古民家再生補助金」として、最大150万円まで改修費用を補助するケースもあり、地域振興や観光資源化を目的とした条件付きの支援も存在します。

小規模事業者持続化補助金等の特殊補助

空き家・古民家をビジネス用途に転用する場合は、小規模事業者持続化補助金や地域創生事業補助金が活用可能です。

• 対象事業例 古民家カフェ、宿泊施設、工房・ギャラリーの開設 地域の交流拠点としての再生事業
• 補助内容 設備費や広告宣伝費、工事費の一部補助 補助率や上限額は事業計画の内容により変動

これらの補助金は、特に若年層・移住希望者・地域活性化に関心のある事業者にメリットが大きく、資金調達や事業リスク軽減に役立ちます。

長寿命住宅・固定資産税減免

空き家再生の際に「長寿命住宅（長期優良住宅）」の認定を取得すると、税制上の優遇措置が受けられます。

• 固定資産税の減免 認定長期優良住宅に改修した場合、最大5年間、固定資産税が1/2に軽減される制度があります（国税庁・固定資産税制度）。
• 住宅ローン控除との併用 改修費用を住宅ローンで賄う場合、一定の条件下で住宅ローン控除を受けることも可能です。

税制優遇を活用することで、長期的な運営コストを抑えながら再生事業を進めることができます。

成功事例と申請時の注意点

成功事例

• 地方古民家カフェ 50年前の民家をカフェに改修。国の補助金と自治体補助金を併用し、耐震改修費用の約70％を補助で賄ったケース。開業後は地域交流の拠点としても人気。
• 空き家宿泊施設 古民家を宿泊施設に改装。小規模事業者持続化補助金を利用して広告宣伝費を補助、地方創生事業補助金で施設改修費を補助。観光客増加に成功。

申請時の注意点

• 補助金は事前申請が原則 事後申請は認められない場合が多く、計画段階での申請準備が必要です。
• 費用の証明書類を整備 工事費明細書や見積書、領収書などを正確に準備することが求められます。
• 補助金の併用ルールを確認 国と自治体、複数の補助金を併用できる場合もありますが、条件が限定されることが多いため事前確認が重要です。

まとめ

空き家や古民家の再生は、地域活性化や資源活用の観点から注目されています。国や地方自治体の補助金、長寿命住宅制度による税制優遇を適切に活用することで、費用負担を軽減しながら再生事業を進めることが可能です。

補助金申請や税制優遇の活用には、制度の詳細を理解し、計画段階からの準備が欠かせません。成功事例を参考に、自分の目的に合った制度を選ぶことが、空き家再生の第一歩となります。

※本記事に記載の金額は国土交通省・中小企業庁等公表資料に基づく参考値です。実際の補助額・条件は各自治体・補助金制度により異なります。