男性型脱毛症（AGA）とは何か？原因・メカニズム・進行パターンを詳しく解説

男性型脱毛症（いわゆるAGA、Androgenetic Alopecia）は、日本をはじめ世界中で多くの男性が悩む脱毛症の一種です。AGAは主に、思春期以降に始まり、前頭部（生え際）や頭頂部（つむじ）から徐々に薄毛が進行する特徴があります。「抜け毛が増えた」「最近毛が細くなってきた」と感じる男性は少なくありません。

AGAの主な原因は、男性ホルモン（テストステロン）がジヒドロテストステロン（DHT）に変換され、そのDHTが毛母細胞に悪影響を及ぼすことです。これにより、毛包が縮小し、毛周期（ヘアサイクル）が短くなって成長期が短縮され、細く短い毛が多くなります。また、遺伝的素因が深く関与しており、家族歴がある人では発症リスクが高くなります。さらに、生活習慣（睡眠不足、ストレス、栄養など）や加齢、血行不良といった環境要因もAGAの進行を早める要因となります。

AGAの進行タイプと典型的な症状

AGAは進行パターンによっていくつかのタイプに分類されます。

前頭部タイプ（M字型） 生え際の額が後退し、額の両側が「M」の形になる進行型です。このタイプは特に若年男性で多く見られる傾向があります。前頭部の薄毛は鏡で確認しやすいため、ユーザー自身が気づきやすいタイプでもあります。

頭頂部タイプ（つむじ型） 頭頂部に薄毛が集中し、円形または楕円形に進行するタイプです。表面的な抜け毛だけでなく、つむじ周辺の地肌が見えるようになる場合もあります。

混合型 前頭部と頭頂部の両方が薄くなるタイプです。進行が進むと、全体的に髪が細くなり、ボリュームが減少します。

AGAは、他の脱毛症（たとえば円形脱毛症や休止期脱毛）とは異なり、炎症を伴った急激な抜け方ではなく、徐々に薄くなるのが特徴です。

AGAの診断方法：医師とともに正しく見極める

AGAを適切に治療するには、まず正しい診断が不可欠です。クリニックでは以下のような診断プロセスが一般的です。

1. 問診・視診 医師が患者の抜け毛状況、家族の脱毛歴、生活習慣、ストレス状況などを詳しく聞きます。頭皮を観察しながら、薄毛の進行位置やパターンを確認します。
2. マイクロスコープ診断 拡大鏡やマイクロスコープで毛穴の状態（毛包の形状、毛の太さ、細い毛の割合など）を観察。AGAの典型的な毛包変化を確認します。
3. 画像診断（必要に応じて） MRIや超音波は通常のAGA診断ではあまり使われませんが、異常を疑う場合や他の病的脱毛を除外する目的で使われることがあります。
4. 血液検査 ホルモンバランス、肝機能、コレステロール、甲状腺機能などを調べることで、治療薬が安全に使えるかを確認します。

これらにより、AGAかどうか、また他の脱毛原因がないかを医師が総合的に判断します。

AGAの治療法：内服・外用・先端治療

AGA治療には複数のアプローチがあり、患者の状態や希望によって選択肢が異なります。

内服薬（経口薬）

• フィナステリド：5α-還元酵素を抑えてDHTの生成を抑制し、抜け毛を減らす。月額費用はクリニックによって異なりますが、一般に約4,000～10,000円程度。副作用（性欲減退、勃起障害など）が起きる可能性もあるため、医師による定期チェックが必要。
• デュタステリド：フィナステリドよりも強力に5α-還元酵素を阻害する。効果が出やすい反面、副作用リスクも考慮が必要。

外用薬

• ミノキシジル（外用）：血管拡張作用により頭皮の血行を良くし、毛母細胞を刺激。1％〜5％濃度が一般的。使用時にはかゆみや発赤が出る場合がある。

メソセラピー・注入療法

• 育毛メソセラピー：成長因子やビタミン、ミノキシジルなどを頭皮に直接注入して毛包を活性化。クリニックにより1回あたり1万円～数万円の費用がかかる。数回継続する必要がある。

自毛植毛

• FUT（ストリップ法）・FUE法：後頭部などから健康な毛を採取して、薄毛部に移植する手術。高コスト（数十万円以上）が必要だが、移植毛はDHTの影響を受けにくく、長期にわたり維持しやすい。

光治療（レーザー・LED）

• 低出力レーザー（LILT）やLED治療：頭皮に照射して血流を改善し、髪の成長を支える。1回あたり数千円～数万円。副作用は少なく、他の治療と併用されることが多い。

日常生活でできるAGA対策・セルフケア

治療と併せて生活習慣を整えることで、AGAの進行を遅らせる効果があります。

• 睡眠の質を高める：睡眠中に成長ホルモンが分泌され、毛の成長を助ける。毎日7時間以上の睡眠を心がける。
• ストレス管理：ストレスはホルモンバランスを崩し、DHTレベルを影響させる。ヨガや深呼吸、運動でリラックスする。
• 栄養バランスの取れた食事：タンパク質（魚・肉・大豆）、亜鉛、ビタミンB群などは健康な髪の材料。加工食品・ジャンクフードの取りすぎを避ける。
• 適度な運動：ウォーキング、筋トレなどで血行を促進し、頭皮への栄養をサポート。
• 頭皮ケア：マイルドなシャンプーを使い、爪ではなく指腹で優しく洗う。洗髪後は頭皮を引っ張らずにタオルドライ。
• 禁煙・節酒：タバコは血行を悪くし、アルコール過剰摂取はホルモンバランスを乱す。

心理面とAGA：自己肯定感への影響

AGAによる見た目の変化は、心理的ストレスを伴うことがあります。薄毛が進行すると自信を失ったり、人との交流を避けるようになる人も少なくありません。

• カウンセリング：AGA治療専門クリニックでは、心理カウンセリングを併設しているところもあり、不安や悩みを話すことで精神的負担を軽減できます。
• 支援グループ：同じ悩みを持つ男性のコミュニティに参加することで、体験を共有し、対策のヒントや勇気を得ることができます。
• 自己イメージの再構築：AGAを「治療すべき問題」であると同時に、自分のライフスタイルを考えるきっかけとして捉えることで、前向きな自己受容も可能です。

早めの治療開始が重要：AGAの進行を抑えるカギ

AGAは進行性の脱毛症であり、自然に元の密度へ戻ることはほとんどありません。早期に治療を開始すれば、抜け毛の抑制や発毛維持がより効果的です。

例えば、初期段階（脱毛が明らかになる前や薄毛がわずかな段階）でフィナステリドやミノキシジルを使えば、毛髪のボリュームを維持しながら自然な見た目を保つ可能性が高まります。遅れて治療を始めると、それだけ回復には時間がかかる可能性があります。

AGA治療クリニックの選び方とおすすめ3院

AGA治療を始めるなら、信頼できるクリニックを選ぶことが重要です。以下は日本国内で実績がある代表的なAGAクリニック3院です。

1. 湘南美容クリニック（AGA部門） ・全国に多数のクリニックを展開し、AGA治療の実績が豊富。 ・内服薬、外用薬、メソセラピー、自毛植毛などを網羅。
2. AGAスキンクリニック ・AGA治療専門。初診無料・オンライン診療対応あり。 ・最新の発毛治療メニュー（Dr’s メソなど）を提供。
3. ゴリラクリニック（メンズ） ・男性専用クリニックで、発毛治療にも特化。 ・内服、注入、植毛まで幅広い選択肢がある。

これらのクリニックは、治療方法が多様であり、患者の希望と予算に応じた相談が可能です。

よくある質問（FAQ）

Q1: AGA治療は何年続ける必要がありますか？ A1: 通常、AGAの内服薬や外用薬は長期間継続が推奨されます。効果を維持するには、少なくとも3ヶ月〜6ヶ月の継続が必要であり、その後も定期チェックを受けながら継続するケースが多いです。

Q2: 副作用が心配ですが大丈夫ですか？ A2: フィナステリドなどには性欲減退や勃起機能の低下などの副作用が報告されていますが、多くの人は軽度であり、専門医と相談しながら使用すればリスクを管理できます。

Q3: 自毛植毛は一度で完全に治りますか？ A3: 自毛植毛は移植した毛は長期的に生える可能性が高いですが、「完全な密度復元」は難しいケースもあります。複数回の治療や、内服・外用薬との併用が必要になることもあります。

まとめ

男性型脱毛症（AGA）は、遺伝やホルモン、生活習慣など、複数の要因が絡み合って進行します。しかし、適切な診断と治療、生活習慣の改善を組み合わせることで、進行を遅らせたり、発毛を促したりすることが可能です。早期相談・早期治療が鍵となるため、気になる症状があれば信頼できるクリニックを訪れ、専門医とともに自分に合った治療法を選びましょう。