いびきは病気のサイン?普通のいびきと睡眠時無呼吸の違い
夜、家族やパートナーから「いびきがうるさい」と言われたり、自分でも気になることはありませんか。いびきは誰にでも起こる身近な現象ですが、その中には「単なる音」では済まされないものがあります。特に**睡眠時無呼吸症候群(SAS)**は健康に深刻な影響を与えることが知られており、早期に気づくことが大切です。本記事では、普通のいびきと睡眠時無呼吸の違い、症状や危険性、受診の目安、そして早期発見のメリットまでを詳しく解説します。
普通のいびきとは
いびきの仕組み
いびきは、睡眠中に上気道(喉や鼻の奥の部分)が狭くなり、空気の流れが乱れて軟らかい組織が振動することで発生します。音の大きさや質は人によって異なり、同じ人でも体調や環境で変化します。
主な原因
- 鼻炎や風邪などによる鼻づまり
- 飲酒や疲労による筋肉の弛緩
- 仰向けで寝ることによる舌根の沈下
- 肥満による気道周囲の脂肪の増加
こうした要因で起こるいびきは一時的なことが多く、生活習慣の工夫で改善する場合があります。例えば、横向きに寝る、寝る前の飲酒を控える、体重を減らす、部屋を加湿して鼻の通りを良くするなどが効果的です。
普通のいびきの特徴
- 毎晩必ずではなく、体調や姿勢で変動する
- 呼吸が途切れたり息苦しそうに見えることは少ない
- 日中の強い眠気や集中力低下が目立たない
このような特徴であれば「普通のいびき」である可能性が高いと考えられます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
定義
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が10秒以上止まる「無呼吸」、または呼吸が浅くなる「低呼吸」が1時間に5回以上繰り返される病気です。気道が塞がる閉塞性と、脳から呼吸の指令が出にくくなる中枢性、さらに両方が混在する混合性があります。
主な症状
- 大きないびき
- 呼吸が止まったあと突然大きな息をする
- 夜間に何度も目が覚める
- 朝起きても疲れが取れない
- 日中の強い眠気、居眠り
- 頭痛や集中力の低下
放置するとどうなるか
睡眠の質が著しく低下するため、慢性的な疲労や生活の質の低下を引き起こします。さらに高血圧、心筋梗塞、不整脈、脳卒中、糖尿病などのリスクを高めることが明らかになっています。また、日中の眠気による交通事故や労働災害の危険性も増加します。
受診の目安
自分や家族で気づけるサイン
- いびきの途中で呼吸が止まる
- 息苦しそうにして目を覚ます
- 朝起きた時に口が乾いている、頭痛がある
- 日中に強い眠気で仕事や運転に支障が出る
- 体重増加や肥満、高血圧などの生活習慣病がある
こうした症状がある場合、耳鼻咽喉科、呼吸器内科、または睡眠外来を受診することが望ましいです。
検査の流れ
- 問診と生活習慣の確認
- 在宅で行う簡易検査(小型装置で呼吸や酸素濃度を測定)
- 必要に応じて病院での終夜睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)
これらを通じて、無呼吸の回数や重症度が診断されます。
早期発見のメリット
- 日中の眠気が改善し、仕事や学業、運転の安全性が高まる
- 高血圧や心疾患、脳卒中などの合併症リスクを下げられる
- 睡眠の質が改善し、生活の質(QOL)が向上する
- 家族やパートナーの睡眠妨害も減る
主な治療と対策
生活習慣の改善
- 減量による気道の改善
- 寝る前の飲酒や過食を避ける
- 横向きで寝る習慣をつける
- 禁煙で気道の炎症を減らす
CPAP(持続陽圧呼吸療法)
気道に空気を送り込み閉塞を防ぐ装置です。最も効果が確認されている治療法ですが、継続して使用することが重要です。
口腔内装置(マウスピース)
軽度から中等度のSASに有効で、下顎を前に出して気道を確保します。
外科的治療
扁桃腺やアデノイドの摘出、口蓋や顎の手術など、解剖学的に狭い部分を広げる方法もあります。
自宅でできるチェックリスト
- パートナーに呼吸停止の有無を観察してもらう
- スマホでいびきを録音し、静止→再開のパターンがないか確認
- エプワース眠気尺度で日中の眠気を評価
- 寝る前の生活習慣を見直す
まとめ
いびきは多くの人が経験する現象ですが、そこに「呼吸の停止」や「日中の強い眠気」が加わると、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。放置すれば心血管疾患や生活習慣病のリスクを高めるため、早めに医師へ相談することが大切です。 まずは自宅で観察や簡単なチェックから始め、不安がある場合は受診につなげてください。早期発見と適切な治療が、健康で快適な生活を取り戻す鍵になります。