抜け毛の主な原因とは？

1. 遺伝（男性型脱毛症＝AGA）

最も多い原因は「AGA（Androgenetic Alopecia：男性型脱毛症）」です。遺伝と男性ホルモン（特にDHT＝ジヒドロテストステロン）の影響により毛根が徐々に縮小し、髪が細く短くなっていきます。この過程を「毛のミニチュア化」と呼び、進行すると発毛力そのものが弱まります。

AGAは父方・母方両方の遺伝が影響するため、「父親が薄毛だから自分も必ずハゲる」とは限りません。しかし家族歴がある男性は発症リスクが高く、20代から進行するケースもあります。

2. 頭皮の血行不良

毛根は血液から栄養を受け取ることで成長します。つまり血流が滞ると髪の成長に必要な栄養が届かなくなり、抜け毛が増えるのです。デスクワーク中心の生活、肩こり、運動不足は頭皮の血流を悪化させる大きな要因です。

さらに、睡眠不足や慢性的なストレスも血管を収縮させ、頭皮の血行不良を招きます。頭皮が硬い、冷たいと感じる人は要注意です。

3. 生活習慣の乱れ

現代人は「不規則な生活」による抜け毛リスクを抱えています。例えば、脂っこい食事や糖質過多の食事、過度な飲酒や喫煙は、血液循環やホルモンバランスを乱し、頭皮環境を悪化させます。

また、紫外線の影響も見逃せません。頭皮は顔の2倍以上も紫外線を浴びやすく、活性酸素によって毛根細胞がダメージを受け、抜け毛を招くことがあります。

4. ストレスとホルモンバランスの乱れ

ストレスがかかると、自律神経やホルモンのバランスが崩れます。とくに副腎皮質ホルモンや男性ホルモンの分泌に影響が出ると、毛周期（ヘアサイクル）が乱れて脱毛が進みやすくなります。

円形脱毛症のように一気に髪が抜けるタイプは、免疫機能の異常とストレスの関与が強いと考えられています。

抜け毛を防ぐための具体的対策

1. 毎日の正しいシャンプー習慣

頭皮を清潔に保つことは、最も基本的なケアです。皮脂やフケが毛穴に詰まると毛根に酸素や栄養が届きにくくなります。

• シャンプーは1日1回が基本
• 爪を立てずに指の腹で優しく洗う
• アミノ酸系シャンプーを選び、洗浄力が強すぎる製品は避ける

洗いすぎによる乾燥や、洗わなさすぎによる皮脂詰まりの両方が抜け毛の原因になるため、バランスが重要です。

2. 頭皮マッサージで血行促進

お風呂上がりや就寝前に、指の腹で頭皮を優しくもみほぐすと血行が改善されます。特に後頭部から側頭部、頭頂部へと押し流すようにマッサージするのが効果的です。

さらに育毛トニックやローションを併用すると、成分が毛根まで届きやすくなります。

3. バランスの取れた食事

髪の主成分は「ケラチン」というたんぱく質です。その合成には 亜鉛・鉄分・ビタミンB群 が欠かせません。

• 亜鉛：牡蠣、牛肉、ナッツ類
• 鉄分：レバー、ほうれん草
• ビタミンB群：卵、魚、緑黄色野菜

加工食品やファストフードに偏りがちな食生活を見直し、栄養バランスを整えることが抜け毛予防につながります。

4. 質の高い睡眠を確保する

髪の成長ホルモンは、夜22時〜深夜2時に分泌が最も活発になるといわれます。この時間帯に熟睡していることが大切です。

• 就寝は深夜0時前を意識する
• スマホやPCのブルーライトを寝る前に避ける
• 寝具や室温を整えて深い眠りを確保する

睡眠不足はホルモンバランスを崩し、抜け毛の大きなリスクになります。

5. 定期的な頭皮チェックと記録

髪の変化は毎日見ていると気づきにくいものです。スマホで頭頂部や生え際を撮影し、月単位で比較すると進行の有無が明確になります。

早期に変化を察知できれば、育毛剤や医療の力を借りるタイミングも逃しません。

さらに進んだ抜け毛対策（医療編）

生活習慣改善だけでは追いつかない場合、専門的な治療を検討するのも選択肢の一つです。

• AGA治療薬（フィナステリド・デュタステリド）：男性ホルモン由来の脱毛進行を抑える
• ミノキシジル外用薬：血流を改善し発毛を促す
• メソセラピー・HARG療法：成長因子や栄養成分を直接頭皮に注入
• 自毛植毛：後頭部など薄毛が進行しにくい部位から毛根を移植

ただし、薬には副作用がある場合もあり、医師の診断を受けて正しく選択することが大切です。

抜け毛の原因を知ることが、最大の予防になる

抜け毛は加齢とともに自然に進む現象ですが、「遺伝だから仕方ない」と諦める必要はありません。早めに原因を知り、生活習慣を整え、必要に応じて医療の力を取り入れることで、進行を遅らせることが可能です。

大切なのは「気づいた今が始めどき」という意識。小さな習慣改善の積み重ねが、5年後・10年後の髪の健康に直結します。今日からできることを一つずつ始めていきましょう。