就診の流れ

予約・受付

皮膚科を受診する際は事前に予約するのが望ましいです。初診では、生活習慣や家族歴、既往症などの問診票の記入が求められます。これらの情報は脱毛の原因を特定するうえで非常に重要です。

問診と視診

医師は頭皮を直接観察し、脱毛パターンや進行度を確認します。AGAでは前頭部の後退や頭頂部の薄毛が典型的であり、女性は全体的に均等に薄くなることが多いです。医師は、抜け毛の量や毛の太さ、頭皮の状態などもチェックし、必要に応じて写真で記録します。

血液検査・ホルモン検査

脱毛が鉄欠乏性や甲状腺機能異常、ホルモンバランスの乱れと関係することもあるため、血液検査を行う場合があります。女性では月経異常や妊娠歴も確認され、原因に応じた治療方針が決定されます。

診断と治療方針の決定

問診・視診・検査結果をもとに、薄毛の種類を診断します。AGA、女性型脱毛症、円形脱毛症、びまん性脱毛症などに応じて、薬物療法、生活習慣改善、外用療法など複数の選択肢が提示されます。

皮膚科で処方される主な薬

内服薬

• フィナステリド 男性型脱毛症の進行抑制に用いられます。テストステロンがDHTに変換されるのを抑制し、脱毛を防ぎます。副作用として性欲減退や肝機能への影響がある場合があります。
• デュタステリド フィナステリドより作用が強く、前頭部や頭頂部の脱毛にも効果があります。長期的な管理が必要です。

外用薬

• ミノキシジル 毛母細胞を活性化し、発毛を促進する薬です。男女とも使用可能で、薄毛部分に直接塗布します。使用初期に一時的な抜け毛が増えることがありますが、成長期の毛髪が生える前兆と考えられます。

補助療法

• 栄養補助サプリメント（亜鉛、鉄、ビタミンB群）
• 低出力レーザー治療（頭皮の血流改善）
• 頭皮環境を整える専用シャンプーや外用剤

AGA専門クリニックとの違い

皮膚科とAGAクリニックの主な違いは診療範囲と治療の目的です。

• 皮膚科 脱毛症全般を診療 皮膚疾患やホルモン異常、栄養不足も総合的に評価 保険診療が可能な場合もある
• AGAクリニック AGA治療に特化 薬物療法が中心で検査範囲は限定的 自費診療が基本で費用は比較的高め

「原因をまず知りたい」方は皮膚科、「AGA治療だけを集中的に受けたい」方は専門クリニックが向いています。

治療前に知っておくべきこと

効果が出るまでの期間

内服薬や外用薬の効果はすぐには出ません。一般的には 3〜6か月 継続してようやく発毛や脱毛の抑制を実感できる場合が多いです。

副作用

• フィナステリド・デュタステリド：性欲減退、肝機能障害の可能性
• ミノキシジル：かゆみ、発疹、顔や体毛の増加

副作用が現れた場合は自己判断で中止せず、必ず医師に相談しましょう。

生活習慣の改善

薬物治療だけでなく、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理、禁煙なども薄毛治療の効果を高めます。特にたんぱく質、亜鉛、ビタミン類の摂取は毛髪の健康に重要です。

日常でできる頭皮ケア

• シャンプーは優しく、過度な摩擦は避ける
• 頭皮マッサージで血流を促進
• 紫外線対策として帽子や日焼け止めの使用
• 熱や化学薬品でのダメージを最小限に

心理面への配慮

脱毛は見た目の変化だけでなく、自信や精神的ストレスに影響します。皮膚科では、必要に応じて心理的ケアや生活指導も行い、治療を通じて心理的なサポートも提供します。

よくある質問（Q&A）

Q1. 女性も皮膚科で治療可能ですか？ はい。女性特有の脱毛症にも対応可能です。ホルモンバランスや栄養状態を確認したうえで治療します。

Q2. 保険は使えますか？ 円形脱毛症や甲状腺異常による脱毛は保険適用の場合があります。AGA治療は基本的に自費診療です。

Q3. 市販育毛剤と何が違うの？ 医師処方薬は成分量や安全性が管理されており、効果が高くなります。

Q4. 治療をやめるとどうなりますか？ 脱毛が再び進行する可能性があります。継続治療が望ましいです。

Q5. 副作用が心配です。どうすれば良いですか？ 医師と相談しながら用量調整や代替療法を検討できます。

まとめ

皮膚科での薄毛治療は、医師による正確な診断と安全な薬の管理のもとで行えます。初診から検査、処方薬、生活習慣改善まで一貫してサポートが受けられるため、安心して治療を続けられます。AGAクリニックとの違いを理解し、自分に合った治療法を選択することが大切です。薄毛で悩む方は、まず皮膚科を受診して正しい治療を始めることが第一歩となります。