ストレスと抜け毛の関係を医師が徹底解説

🕒 2025-08-19

現代人にとって「ストレス」は避けられない存在です。仕事、家庭、学業、人間関係など、さまざまな要因が心と体に負担を与えています。そして、このストレスは私たちの髪の健康にも深く関わっています。 「最近抜け毛が増えた気がする」「シャンプーのたびに髪がごっそり抜けて不安」「円形脱毛症になったのはストレスのせい?」と感じる人は少なくありません。 髪の健康は体全体の健康とも密接に関係しています。ストレスによる抜け毛は一時的なこともありますが、放置すると慢性的な脱毛や円形脱毛症のリスクも高まります。髪の悩みは見た目だけでなく、精神的な負担も大きいため、早めに理解し対策を取ることが重要です。

ストレスが体に与える仕組み

ストレスを感じると、自律神経が乱れ「交感神経」が優位になります。体は緊張状態になり、血管が収縮して血流が悪くなり、髪の毛根への栄養供給も低下します。この状態が長く続くと、髪は細くなり、抜けやすくなります。

さらに、ストレスが強いと「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。コルチゾールは短期的には体を守る役割がありますが、長期的に増加するとホルモンバランスを崩し、免疫機能に異常を引き起こすことがあります。免疫の乱れは、円形脱毛症など自己免疫性脱毛症のリスクにもつながります。

ストレスとホルモンバランスの関係

特に女性はホルモンバランスの影響を受けやすく、ストレスによってエストロゲンの分泌が減少すると髪が細くなり、成長が遅れることがあります。一方、男性はストレスがテストステロンの代謝に影響し、薄毛進行を促すDHT(ジヒドロテストステロン)が増加する場合があります。

男女ともにストレスが髪の成長に影響を与えるため、抜け毛の原因として無視できません。また、加齢によるホルモン変化とストレスが重なると、脱毛がより顕著になることがあります。

頭皮環境への影響

ストレスは頭皮の健康にも悪影響を及ぼします。血流の悪化、皮脂の過剰分泌、フケやかゆみの増加、毛穴の詰まりなどが起こりやすくなります。特にデスクワーク中心で運動不足の人は、頭皮の血流が滞りやすく、抜け毛が増える傾向があります。

また、睡眠不足や不規則な生活も頭皮のターンオーバーに影響し、髪の成長周期を乱す原因となります。日常生活のちょっとした習慣が、知らず知らずのうちに髪の健康を左右しているのです。

よく見られるストレス性脱毛症:円形脱毛症

円形脱毛症は自己免疫が毛根を攻撃してしまうことで起こる脱毛症です。突然、円形や楕円形の脱毛斑が現れ、数日〜数週間で広がることもあります。

円形脱毛症の特徴

  • コイン大の脱毛斑が現れる
  • 眉毛やまつ毛にも影響することがある
  • 急激に脱毛が進む
  • ストレスや精神的負担と関連して発症することが多い

多くの場合、円形脱毛症は慢性的なストレスや強い心理的負荷が引き金となるため、生活環境の見直しが重要です。

ストレス性抜け毛のサイン

ストレスによる抜け毛には、いくつかの特徴的なサインがあります。

  • シャンプーやドライヤー後の抜け毛が増えた
  • 髪が細く、コシがなくなった
  • 頭皮がかゆく、赤みがある
  • 髪の分け目が広がったように感じる
  • 急に円形脱毛が出現した

これらの症状に気付いたら、早めに対策を始めることが大切です。

毛髪の成長サイクルとストレス

髪の毛は「成長期」「退行期」「休止期」のサイクルを繰り返しています。成長期が長いほど髪は太く健康に育ちますが、ストレスは成長期を短縮させ、休止期を長くすることがあります。

その結果、抜け毛が増え、髪が薄くなるように見えるのです。長期的なストレスはこのサイクルを乱すため、慢性的な抜け毛につながります。

日常生活でできる減圧法

ストレス性の抜け毛を防ぐには、生活習慣の改善が欠かせません。

睡眠をしっかりとる

成長ホルモンは睡眠中に分泌され、髪の修復にも関わります。22時〜2時の深い睡眠を確保することが望ましいです。

栄養バランスの取れた食事

髪の主成分はケラチンというタンパク質です。さらに鉄分、亜鉛、ビタミンB群なども必要です。偏食や過度なダイエットは髪の成長を妨げるため注意しましょう。

適度な運動

ウォーキング、ストレッチ、ヨガなどは血流改善に有効で、ストレス軽減にもつながります。

メンタルケア

瞑想やアロマ、趣味の時間を意識的に作ることで、心の緊張をほぐすことができます。

頭皮ケアのポイント

生活習慣改善に加え、頭皮ケアも重要です。

  • 毎日優しくシャンプーして清潔に保つ
  • 頭皮マッサージで血流を促す
  • 紫外線対策を行う(帽子、日傘)
  • 強いスタイリング剤や熱の強いドライヤーは避ける

定期的なケアは、髪の成長環境を整えるために欠かせません。

よくある質問(Q&A)

Q1:ストレスで抜けた髪は元に戻りますか? A:多くの場合、ストレス軽減により毛根が再び活動し、髪は生えてきます。ただし、円形脱毛症や慢性的脱毛は回復に時間がかかることがあります。

Q2:ストレス性脱毛と遺伝性脱毛の違いは? A:遺伝性脱毛は徐々に進行しますが、ストレス性脱毛は比較的短期間で抜け毛が増える傾向があります。

Q3:抜け毛が増えたら病院に行くべきですか? A:急激に脱毛が増えたり、円形脱毛が出現した場合は皮膚科や専門外来での診察がおすすめです。

まとめ

ストレスは髪の健康に大きな影響を与えます。ホルモンバランスの乱れ、血流悪化、頭皮環境の悪化が重なり、抜け毛や円形脱毛症を引き起こすことがあります。

しかし、生活習慣改善、頭皮ケア、ストレス管理を意識することで、髪の健康を守ることは可能です。規則正しい生活、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、心のケアを実践し、健康な髪と心身を維持しましょう。