コロナ感染後の脱毛メカニズム

テロゲン脱毛とは？

コロナ後に見られる脱毛の大半は「テロゲン脱毛（休止期脱毛症）」です。髪は通常、成長期（2〜6年）、退行期（2〜3週間）、休止期（2〜3か月）のサイクルを繰り返します。しかし、感染や強いストレスを受けると、多くの毛根が一斉に休止期へ移行し、数か月後にまとまって抜けてしまうのです。

コロナが髪に与える影響

• 免疫反応による炎症 感染時の免疫反応は毛根周囲にも影響し、毛母細胞の働きを一時的に抑えることがあります。
• 発熱や倦怠感 高熱時には体が「生きるために必要な臓器」を優先し、髪や爪といった生命維持に直接関係しない部分への栄養供給を後回しにします。
• 精神的ストレス 感染による不安、社会的隔離、仕事や家庭への影響は、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、抜け毛を助長します。

ホルモンバランスの乱れ

特に女性では、エストロゲン（女性ホルモン）が髪の成長を支えているため、ストレスや体調不良によって分泌が減少すると毛が細くなり、抜けやすくなります。男性の場合も、ストレスホルモンであるコルチゾールが増えることでヘアサイクルに悪影響を及ぼします。

時間性と長期性の違い

時間性脱毛

• 発症時期：感染から2〜3か月後に始まることが多い
• 特徴：抜け毛が一時的に増えるが、半年以内には落ち着くケースが大半
• 回復の流れ：体調が回復し、毛根が再び成長期へ戻ることで自然に改善

長期性脱毛

• 発症時期：感染後6か月以上経っても抜け毛が続く
• 背景要因：慢性的なストレス、栄養不足、睡眠障害、加齢やホルモンバランスの変化
• 対応：生活習慣の見直しに加えて、皮膚科や発毛専門医での診察が必要な場合もある

自然回復のメカニズム

髪は毎日50〜100本程度抜けるのが正常ですが、コロナ後は一時的にその数が増えることがあります。自然回復のプロセスは以下のように進みます：

1. 毛根の回復 炎症やストレスから解放されると、毛母細胞が再び活発化します。
2. 新しい髪の成長 産毛のような細い毛が生え始め、徐々に太くしっかりした髪へ成長します。
3. 周期の安定化 毛周期が整い、抜け毛の量が減っていきます。

自然回復には数か月かかることも多いため、焦らず体を労わることが重要です。

日常でできるヘアケア

食生活の見直し

• タンパク質：髪の主成分ケラチンの材料。肉、魚、大豆製品を意識的に摂取。
• 鉄分・亜鉛：不足すると抜け毛が増える。レバー、牡蠣、ナッツ類に豊富。
• ビタミンB群：代謝を助け、毛根のエネルギーを支える。卵、緑黄色野菜に多い。
• オメガ3脂肪酸：血行促進に役立つ。青魚や亜麻仁油がおすすめ。

頭皮ケア

• 頭皮マッサージ：シャンプー時に指の腹で優しく揉むことで血流が改善。
• 正しいシャンプー習慣：洗浄力の強すぎないシャンプーを選び、1日1回を目安に。
• 乾燥対策：保湿スプレーやオイルを少量使うと、フケやかゆみ予防につながる。

生活習慣の改善

• 十分な睡眠：夜10時〜2時は成長ホルモンが分泌されやすく、髪の修復に有効。
• 適度な運動：ウォーキングやヨガは血流改善とストレス軽減に役立つ。
• ストレスマネジメント：深呼吸、瞑想、趣味の時間を持つことが心身の安定につながる。

心理的側面とケア

髪の変化は外見に直結するため、不安や自信喪失を招くことがあります。特に女性は「人に気づかれるのでは」というプレッシャーが強く、社会生活に支障を感じることもあります。

• 正しい情報を得る：脱毛は多くの場合一時的であると知るだけでも安心につながる。
• セルフケアを習慣化：日々の小さな行動が回復を支える。
• 家族や友人に相談：孤独感を軽減し、前向きに取り組む力を取り戻せる。

専門的なサポートの目安

以下のような場合は、医師や専門家に相談することをおすすめします：

• 半年以上抜け毛が改善しない
• 局所的に薄毛が目立つ
• 頭皮に炎症や痛みがある
• 家族に脱毛症の既往がある

専門医は血液検査やホルモン測定を行い、必要に応じて治療法を提案します。

まとめ

コロナ後の抜け毛は体が回復しているサインでもあり、多くは一時的なものです。栄養バランスの良い食事、頭皮ケア、十分な睡眠、ストレス管理を意識することで自然回復をサポートできます。

長期に続く場合や不安が強い場合には、専門家に相談し、体の内側からも外側からもケアしていくことが大切です。焦らず、体と心を整えることで、再び健康な髪を取り戻すことができるでしょう。