花粉症舌下免疫療法の全プロセスと効果解説
🕒 2025-08-13
花粉症は日本の春先に多くの人を悩ませる季節性アレルギーであり、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど日常生活に大きな影響を与えます。従来は抗ヒスタミン薬などの対症療法が中心でしたが、近年注目を集めているのが「舌下免疫療法(SLIT)」です。本記事では、その原理から治療の流れ、適応・非適応、注意点、そして実際の効果までを詳しく解説します。
舌下免疫療法の原理
舌下免疫療法は、花粉症の原因となるアレルゲン(例えばスギ花粉由来の成分)を、ごく少量ずつ舌の下に投与し、体を徐々に慣らしていく治療法です。免疫システムに「これは過剰反応しなくてよい物質だ」と学習させることで、症状の軽減や再発予防を目指します。 免疫が変化するには時間がかかりますが、一時的な薬とは異なり、体質そのものに働きかける点が特徴です。
治療の流れと期間
- 診断 医師による問診と血液検査、皮膚テストなどでアレルゲンを特定します。
- 導入期 最初は極めて少量から始め、数週間かけて投与量を増やします。
- 維持期 一定量を毎日舌下に投与し、継続します。
- 治療期間 一般的には3〜5年の継続が推奨され、途中で症状が軽くなっても自己判断で中止せず、医師の指示を守ることが重要です。
適応する人・しない人
適応する人
- スギ花粉やダニアレルギーが診断で確認された方
- 5歳以上の小児から成人まで幅広く可能(ただし年齢や体質による判断が必要)
- 季節ごとの症状が中等度以上で日常生活に支障がある人
適応しない場合
- 重度の喘息を有する方
- 妊娠中や授乳中の方(原則避ける)
- 過去に強いアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こした経験がある方
- 医師が危険と判断する場合
副作用と注意点
多くは軽度で、口の中のかゆみや腫れ、喉の違和感などが一時的に起こる程度です。通常は数日で軽快しますが、まれに強い全身症状が出ることもあるため、初回は医療機関での観察が推奨されます。 注意点として、投与直後の運動や熱い飲食は避け、体調が悪い日は無理に続けないことが挙げられます。
成功事例と効果の評価
舌下免疫療法を3年以上継続した場合、症状が大幅に軽減されたという報告が多く、薬の使用量が減るケースもあります。特に小児期から始めると将来的な症状予防につながる可能性もあります。ただし効果の現れ方には個人差があり、全員が同じ結果になるわけではありません。 治療終了後も定期的な経過観察が重要で、再発防止のための生活管理も並行して行うことが望まれます。